「店ではたらく人と仕事」

2024.09.05

社会科は、自他の幸せを考え、よりよい社会の創り手を育む教科だと考えています。そのためには、社会の仕組みや人々の営みを多角的に捉え、単なる事実的知識の暗記に留まることなく、概念的知識を形成することが不可欠です。そこで1学期の実践では、複数の事例を比較して共通点を見いだし、販売の概念的知識を形成する子供を目指しました。以下に実践の概要をお示しします。

まずは、販売の学習の典型事例であるスーパーマーケットの調査から学習に入りました。販売の工夫の見方をセットするためです。

子供は、お店の見学やお客さんへのインタビューなどを通して、様々な工夫と消費者の願いとがつながり、それが売り上げにつながっていることを捉えました。

すると、子供から「他のお店はどうなっているの?」「他のお店の工夫も知りたい。」と声が挙がりました。

子供に「どのお店に調査に行きたいか。」と問うと、様々なお店が挙がりました。そこで、自分が調査したいお店に個別に調査に行く時間を設定しました。また、学級全体では複数の子供から調査したいと声が挙がった「峰村商店」に見学に行くことにしました。峰村商店は、総合学習で子供たちが1学期に関わってきたお店です。

スーパーマーケットという事例を学んだ子供に、味噌の専門店に出合わせたことには理由があります。それは、距離のある事例、つまり共通点の少ない事例に出合わせることです。人は共通点の少ない事例同士の共通点を見つけた時、これまでの捉えを広げて新たに概念的知識を形成していきます。例えば、「鳥は空を飛ぶもの」と捉えている子供が、「ペンギンも鳥である」という事実に出合って「鳥」という概念的知識を新たに形成していくといったことです。スーパーマーケットと味噌の専門店という、扱っている商品や店舗の規模など一見全然違って見える2つのお店の共通点が見つかることで、販売に関する概念的知識を形成し、子供が自然と「じゃあ他のお店だって同じことが言えるかも」と思考することをねらいました。

授業を通して、スーパーマーケットと味噌専門店の販売の共通点を見付けた子供は、自分たちが個別に調べてきたお店の工夫にも同じことが言えるのか検討をしました。その過程を通して、工夫の意味を捉え直したり、自分は売り上げに繋がらないと思っていた工夫が友達との協働を通して、売り上げに繋がっている工夫であることに気付いたりする姿が見られました。また、複数の事例を比較することで、それぞれのお店が消費者のニーズに応えるものになっているというそれぞれのお店の役割にも気付きました。このようにして、「お店の工夫」「消費者の願い」「売り上げ」を関連付けて販売に関する概念的知識を形成することができました。

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