日本国憲法とわたしたちの暮らし〜新潟駅と日本国憲法との関係を探究する授業〜

2024.09.06

社会科では、子供が社会生活の理解を図り、社会の進展に貢献する態度や能力を身に付けさせることを目的としています。そのため、複数の立場に立って社会的事象の意味を考える学習が大切にされてきました。

しかし、子供は追究の中で複数の立場と出会い、多角的に社会的事象の意味を捉えるものの、自分の生活の中に社会的事象を意味付ける姿には至りませんでした。

その原因は、自分と異なる立場で社会的事象の意味を捉えさせる指導にあります。社会には外国人、高齢者、障がい者など、多様な人が生活を営んでいるため、自分と異なる立場の生活には目に留まりやすいといえます。

そのため、社会的事象の意味を多角的に考えることを通して、社会生活を理解させるという点においては効果的でした。しかし、自分と異なる立場の生活を注視させてしまうため、社会的事象の意味が子供自身の生活とどう結び付くのかを見いださせる点においては不十分さが見られました。

そこで、異なる立場に加え、自分の立場でも社会的事象の意味を捉えさせる指導に改善しようと考えました。具体的には、自分にとってどのような意味があるかを考えさせるために、社会的事象と子供たちの暮らしとの関わりを問います。子供は、自分とは異なる立場から自分自身の立場で材を捉え直し始めます。そのような子供は、自分自身の視点で情報を見つめたり、意味付けたりするのです。このようにして、目指す子供を具現していこうと考えました。

                                              

日本国憲法の学習を終えた子供と次のようなやり取りがありました。

新潟駅で何を調べたらよいか、見通しをもった子供に駅の見学を設定しました。子供は、それぞれのiPadで、新潟駅から日本国憲法に関わる情報を収集していました。

                                                        

見学後、情報を整理する時間を設定しました。

特定の立場で日本国憲法の役割を多角的に捉えているものの、自分の生活の中での役割は見いだせていませんでした。 そこで、日本国憲法の役割を、自分の生活の中で捉え直させるために、 次のように発問しました。

                                    

「新潟駅のどこを見れば、日本国憲法と高学年3組が関係しているといえそうかな。」

                                    

子供は、友達と協働したり、生成AIを活用したりするなどして、日本国憲法と自分の生活とのつながりを見いだしていました。

そして、授業の最後、次のように記述していました。

これは、特定の立場の人だけではなく、自分の生活の中にも日本国憲法が関係していることを自覚した姿といえます。

初等教育研究会では、本実践を踏まえながら、歴史学習に挑戦します。皆様のご参加をお待ちしております。

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