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2019.10.20
今年度,国語科「読むこと」の文学的な文章教材を研究領域として,実践研究に取り組みます。
私が文学的な文章教材で育成を目指す資質・能力は,
想像力
です。
今回は,「ニャーゴ」(東京書籍2年下)を教材として,研究授業を行いました。
以下のように,大きく三つの段階で単元を構想しました。
① 物語世界の概要を捉える。
各場面の内容,登場人物の行動,登場人物の人柄を検討し,内容を大まかに把握します。
② 物語世界について語り合う
物語世界の特徴を見いだし,その特徴を生んでいる登場人物の行動の理由について,考え語り合います。
「ニャーゴ」の物語世界の特徴は,猫がねずみを捕食することなく結末を迎えるという内容です。
子どもは,場面の様子に着目して
登場人物の行動の理由を想像する力を発揮して,
猫の行動の理由を考えます。そして,自分が理解したことの共有を図るために,思いや考えを伝え合おうとする態度を発揮して語り合います。
③ 読書を広げる
教科書教材の内容と,特徴が類似した文学作品を読み広げます。
このような三段階で単元を構成することによって,読書に関する知識・技能を育成することができると考えています。具体的には,教材文「ニャーゴ」のおもしろさを十分に味わうことによって,それを起点として読書に親しみ,いろいろな本があることを知ることができるのです。
それでは,研究の中核となる 「②物語世界について語り合う」 学習の様子をご紹介します。
子どもは,前時までに,物語世界の特徴として
「猫が子ねずみたちを食べなかったこと」
を見いだし,語り合う内容として設定しています。本時では,ねずみを食べなかった猫の考え方を想像し,語り合います。
語り合う内容を確認した後,次のように問いました。
この発問によって,子どもは,現実世界に生きる自分の考え方と捉えている場面の様子とを表出します。
黄色で示した発言には,現実世界に生きる子どもの考え方が,緑色で示した発言には,捉えている場面の様子が表れています。
さらに,互いの考えを交流することで,現実世界の考え方と場面の様子とを把握することを促します。
このように,子どもの発言を板書にまとめていきました。
そして,実際の登場人物である猫の言動を確認しました。
子どもは,同じ場面にも関わらず,自分たちと異なる言動をしている猫の考え方について,課題意識を高めます。このような子どもたちに,次のように問いました。
この発問によって,子どもたちは
現実世界の自分たちと異なる,物語世界の猫の考え方について,想像します。
場面の様子や自分たちとは異なる猫の人柄を基に,様々に想像する子どもたちの姿がありました。
このような子どもたちに,発揮した想像力の自覚を促すために,次のように問いました。
ここでは,アイパッドを用いて,ロイロノートアプリの思考ツール「クラゲチャート」を活用させました。想像した事柄(頭部分)と手掛かりとした言葉(足部分)の関係を視覚化することによって,関係付ける思考を促すことができます。
このように,「言葉を基に想像する」ということを自覚化することが,想像力の育成につながります。子どもは,今後の学習においても,手掛かりを大切にして想像するようになるのです。国語科においては,その手掛かりが言葉であるということになります。
何も手掛かりにせず自分の経験のみで行われる想像は,「空想」に過ぎません。事実を基に想像する力こそが「想像力」なのです。
今後,二月の初等教育研究会に向けて,さらに研究を進めていきます。
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(nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp)