あなたに,私の思いを伝えたい ~話す・聞く「友達のよさを伝えよう」~

2022.10.02

 今年度も,「話す・聞く」領域を中心に研究を進めています。

 オンラインで「いつでも・誰とでも」つながることができるようになった今こそ,「話す・聞く」力を高めることに価値があるのではないかと考えています。

 秋に,新潟大学附属長岡小学校の4年生とオンラインで学習交流をすることを考えています。

 そこで,自分たちのことをよりよく相手に知ってもらうために,「友達のよさを紹介しよう」という学習活動を設定しました。友達のよさをよりよく伝えるために,紹介する発表内容を練り上げていくことを目指しました。

 発表内容を考えた子供たちに「友達のよさが伝わる発表内容になっていますか?」と問うと,「う~ん,あんまり。」「私はいいと思うけど,友達からはちょっとってかんじなんじゃないかな。」と,まだあまり自信をもっているような状況ではありませんでした。

 そこで,「先生も,友達のよさを紹介する発表を考えたんだけど,聞いてみてくれますか?」と投げかけ,教材発表動画を大型テレビで提示しました。

 これが,教材発表動画と共に提示した構成カードです。

 教材発表を提示し,「この発表のどの事例が,最も伝えたいよさを伝えていますか?」と子供たちに問いました。すると,子供たちは,「とても頭がよくて友達に勉強を教えている」や「困っている人に進んで声をかけ,助けてあげている」と答えました。「ラーメンが好きって聞いても,その人のどんなところがいいのかよく分からない」など,事例とよさがつながっていないという発言もありました。

 「伝えたいよさと事例がつながることが重要」と気付いた子供に対して,4つのモデル発表動画を提示しました。以下が,モデル発表動画と共に提示した構成カードです。

 そして,「これらのモデルの中で,自分の発表内容に生かしたいものはありますか?また,それはどうしてですか?」と問いかけました。子供たちは,グループの仲間との対話を通して,それぞれのモデルのよさについて話合いながら,自分の発表内容をよりよいものへと修正する見通しをもちました。

 A児は,グループでの対話を経て,以下のように修正の見通しをもちました。

 A児は,4つのモデルを比較する中で,モデルBの「事例の数」と「考えの理由=内容」に着目し,自分の伝えたいことに合うと判断していました。

 そして,以下のように発表内容を修正しました。

 A児は,モデルBの構成のよさを取り入れ,事例を4つに絞り,具体的なエピソード入れて内容を詳しくしながら,発表内容を修正しました。

 この姿こそ,この学習で目指した「複数のモデル発表を比較することで,自分の伝えたいことに合った事例の挙げ方を見いだし,自分の伝えたいことを明確に表現する子供」の姿です。

 本実践では,「グループで話し合う必要感に弱さがあった」「モデルDのよさが見いだしにくかった」という課題が浮かび上がりました。「話合いの必要感を生み出す状況や場の設定」「望ましいモデルの在り方」などを,今後の実践で改善していきたいと考えています。

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