個人研究
国語科:
中野 裕己
国語科の中野裕己(なかの ゆうき)です。
今年度は、研究主任として学校全体の研究を提案していきます。
また、担任する学級は5年生です。そして、4年生の国語科も担当します。
もちろん、4年生と5年生を中心に、国語科の実践も提案していきます。
<研究の概要>
◎物語文の全体像を想像する子供の育成
<研究のキーワード>
語り手、読みの観点、情報活用能力、個別最適な学び、協働的な学び、シンキングツール、Google、ロイロノート、デジタル教科書、対話、学習履歴(スタディ・ログ)、生成AI…
<著書>
・単著:授業はタイミングが9割
・単著:教科の学びを進化させる 小学校国語授業アップデート
・単著:子供が学びを創り出す 対話型国語授業のつくりかた
・共同編著:学びの質を高める!ICTで変える国語授業3
・共著:小学2年 学級経営ぺディア
・共著:教材研究×国語 定番教材の外せないポイントがわかる超実践ガイド
・共著:小学校・中学校国語科 ICT×書くこと指導コンプリートガイド
<そのほか>
・新しい国語実践研究会 会長
・教員サークル「国語授業"熱"の会」代表
・新潟DX教育研究会 代表
・新潟発授業研究会「N-waku」共同代表
・Google Educator Group Niigata city リーダー
・全国国語授業研究会 監事
・授業改善コミュニティ「授業てらす」ブロ講師
・ロイロ認定ティーチャー
ご依頼,ご質問,ご意見は,以下のメールアドレスにお寄せください。
ぜひぜひ一緒に楽しい学びを創りましょう!
オンライン学習支援②〜説明文Ⅱ〜
2020.05.06説明文「アップとルーズで伝える」(光村図書4年上)
前回は,説明文の初めの感想の交流を促す学習場面について,オンライン学習支援の取組をご紹介しました。
↓前回の更新「オンライン学習支援②〜説明文〜
今回は,説明文の分析的な読みを促す学習場面について,ご紹介します。
ここでは,以下のようなねらいで学習を行います。
オンライン学習は,「ロイロノートスクール」というアプリを介して,以下のような流れで進めます。
このような教師と子どもとの双方向的なやりとりを,複数サイクル行って1時間のオンライン学習を進めます。
分析的な読みを促す学習場面① 対比して読む
サイクル1 段落をアップとルーズで分ける
子どもが各段落の内容をつかむための活動です。
教師からの働き掛けは,上掲のようなカードを子どもに送信することで行います。
カードには,イラストや文字の他に音声を添付することができます。
カードに教師の声を添付することで,子どもたちは教師との「つながり」を感じながら学ぶことができます。
子どもたちは,カードに自分の考えを入力し,教師に送信します。
子どもたちが送信したカードは,教師の端末に一覧で表示されます。
また,教師が「共有」の設定をすれば,子どもたちの端末にも一覧で表示することができます。
サイクル2 「ルーズ」の良さを説明する
子どもが5段落(「ルーズ」の説明)に着目し,その良さを理解するための活動です。
ここでは,子どもたちが各段落の内容を把握したことを受けて,初めの感想で興味をもった段落のグラフを再び提示しました。
そうすることで,初めの感想で,「アップに興味をもった人が多く,ルーズに今日にをもった人は少ない」ということが明確になります。
そのことを踏まえて,「ルーズ」にはどのような良さがあるのか,という発問を送信しました。
教室では,このようなことを子どもとのやり取りで進めていきますが,オンラインでは,教師が提示する形で進めることになります。
サイクル3 「アップとルーズはどちらも良いものである」という教師が提示した主張について,自分の考えを説明する。
子どもが,4段落(アップ)と5段落(ルーズ)とを対比して読むための活動です。
サイクル1〜2と同様に,教師は文字,イラスト,音声を活用した発問カードを送信します。
子どもは,自分の考えを説明したカードを送信します。
そして,それらは教師の端末と子どもの端末に一覧で表示されます。
サイクル4 解説を聞き,学習を振り返る。
子どもが学習をふり返り,発揮した資質・能力を自覚するための活動です。
教師は,文字と音声で,1時間の学びをまとめる解説カードを送信します。
子どもは,それを受けて,学習のふり返りをノートに記述し,撮影して送信します。
子どもがタイピングに慣れていない場合,長文をカードに入力することは大きな負担となります。必要に応じてノートを活用させることが有効です。
このように,双方向的なやり取りを通して,
4段落(「アップ」の説明)
5段落(「ルーズ」の説明)
これら2つの段落を対比して読むことを促し,「アップ」と「ルーズ」の良さを明確にしていきました。
分析的な読みを促す学習場面② 類比して読む
次時には,以下のように説明や発問を送信して,
7段落(新聞の事例)と1〜6段落(サッカーのTV放送の事例)とを類比して読むことを促しました。
対比して読む学習場面と同様に,双方向的なやり取りを複数サイクル行って,
異なる事例を扱っている7段落の良さを明確にしていきました。
分析的な読みを促す学習場面③ まとめ動画
さらに,2時間のオンライン学習で学んだことを,動画にまとめて子どもたちに送信しました。
この動画は,2時間の学習を受けて,説明文「アップとルーズで伝える」を対比して読むこと,類比して読むこと,の具体について解説しています。
動画は,テロップや効果音を挿入する,無駄な箇所を省くなど,簡単に編集したものを用います。
子どもにとって,担任の先生が出演している動画は,特別なものです。そのことに加えて,テンポよく動画が進むように編集を加えることで,子どもは集中して動画を視聴することができます。
文字,音声,イラスト,動画など,様々な方法で子どもたちに働きかけることで,子どもたちは,教師との「つながり」を感じながら学びに向かうことができます。さらに,共有機能の活用によって,友達との「つながり」を感じながら学びに向かうことができます。
また,ノートの活用や動画の送信の部分で触れたように,子どもが集中して取り組むことができるようなユニバーサルな視点も大切です。
つながりを生む
ユニバーサルな視点
これらは,教室での学びにおいても同様のことが言えます。
オンライン学習と教室での学びは,決して別のものではありません。
オンラインだからこその部分,教室だからの部分を十分意識しながら,どちらにおいても本質的な部分を大切にして授業を創っていきたいと思います。
今後もオンライン学習の実践について,紹介していきます。
↓ご意見・ご感想をお待ちしています。
nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
オンライン学習支援②〜説明文〜
2020.04.27今回も,国語科のオンライン学習支援の取組をご紹介します。
↓前回の更新「オンライン学習支援①〜音読指導〜」↓
説明文「アップとルーズで伝える」(光村図書4年上)
私は,読むこと領域(説明的な文章教材,文学的な文章教材)においては,以下のような単元モデルで指導を構想しています。
説明文「アップとルーズで伝える」においては,以下のように単元を計画しました。
発展的な活動は,終わりの感想の前に設定しました。読みの深まった子どもが発展的な活動に取り組むことで,終わりの感想において,文章への気付きがさらに広がると考えたからです。
初めの感想の交流は,以下のようなねらいで行います。
今回は,このような初めの感想の交流をオンラインで行います。
具体的には,タブレット端末に教師が発問や指示を送信し,子どもが自らの考えを記述したものを返信する,といった形になります。
以下の表は,学習の進め方について,教室の学習とオンラインの学習とを比較したものです。基本的な流れは教室での進め方を踏襲しながら,オンラインで学習を進めていきます。
まず,グーグルフォームを活用し,デジタルアンケートで子どもたちの初めの感想を集約します。
※グーグルフォームは,アンケートの結果を自動で集計・グラフ化してくれるデジタルツールです。
教室では,教師が子どもの感想をコントロールしながら交流を進めることができます。
一方で,オンラインでは,多様な感想を,子ども自身で読んでいかなければなりません。子どもにとって,膨大な量の感想を読むことは,大変な負担です。
したがって,子どもが少しでも友達の感想を把握しやすいように,
なるほど,おもしろいと思った段落
をアンケート形式で集約することにしました。そして,以下のようにグラフ化して,子どものタブレット端末に送信しました。
グラフ化されていることで,自分と同じ段落に着目した友達の数,自分と違う段落に着目した友達の数を把握しやすくなります。そして,「○段落を選んだ友達の理由が知りたい」といったように,理由の記述を見るときの見通しをもつことができます。
さらに,以下のようにして,理由の記述もタブレット端末に送信します。
このようにして,初めの感想の交流をオンラインで行います。
その後,気づいたことをノートに記述させ共有を図ります。
ここでは,ロイロノートというアプリの提出機能を活用します。子どもは,クラウド上の「提出箱」に,自分が記述したノートの写真を保存します。教師が「共有」ボタンをタップすると,子ども同士でお互いのノートの写真を見合うことができます。
上掲のように,子どもたちは,自分と友達の「初めの感想」を比較したり,全体の「初めの感想」の傾向を見たりして,説明文に対する追究の意欲を持つことができました。
以下の表は,オンラインの「初めの感想の交流」の成果と課題について,「教室での進め方」と比較する形で示したものです。
オンラインでは,学び方を子どもに委ねる部分が大きくなります。
そのことが,従来の教室での学習から見た,大きな違いの一つだと考えます。
この違いがメリットとして働きやすくなるように,
子どもが「やりたい!」「できそう」と思う課題
子どもが取り組みやすくなる指示や教材の提示
を,今まで以上に工夫していく必要性を感じています。
次回は,説明文「アップとルーズで伝える」の「分析的な読みを促す学習場面」について,オンライン学習支援の具体をご紹介します。
↓ご意見・ご感想をお待ちしています。
nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
オンライン学習支援① 〜音読指導〜
2020.04.23附属新潟小学校では,休校中の子どもたちのために,オンライン学習支援を行っています。
私の専門教科である国語科の取組を,ご紹介します。
オンライン学習支援 〜音読指導〜
子どもに,自分が音読している様子を動画で撮影し,送信するように指示を出します(動画撮影時の背景について,十分指導する必要があります)。
普段の教室では見とることのできない,子ども一人一人の音読の力を見とることができます。
さらに,教師の見とりを子どもにフィードバックします。
上の画像では,三つの例を示しました。子どもの発達段階や理解によって,適切な方法でフィードバックしていきます。
教師の作業量を考えると,文章によるフィードバックから徐々に観点化したものへ移行していくことが望ましいと考えます。
また,あらかじめ録音しておいた教師の音声を活用する方法も有効だと考えます。
具体的には,教材とする文章をデータとして取り込んでおき,教師が音読した音声を貼り付けた教材を準備しておきます。それを子どもに送信して,教師の声と揃うように音読したり,教師の声と交代で音読したりするよう指示をします。
教師の音読を聴くことは,大切な学習です。正しい語のまとまり,聴き取りやすい声の調子など,教師の音読によって,子どもたちの言語感覚を鍛えることができます。
オンラインの音読指導では,あたかも一対一かのように,教師の音読を聴いたり,一緒に音読したりすることができます。
オンラインのメリット・デメリット
オンライン学習支援には,教室では実現が難しいような,メリットもあるのです。仕方なくオンラインの支援を行うのではなく,オンラインだからこそできることを考えていくことが大切です。
そして,オンラインの支援を通して,教室での学びも見直していきたいと考えています。
次回は,説明文「アップとルーズで伝える」のオンライン学習支援についてご紹介します。
↓ご意見・ご感想をお待ちしています。
nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
初等教育研究会「語り合おう,昔話の世界」
2020.01.132月6日(木)7日(金)の初等教育研究会では,文学的な文章を教材とした授業を公開します。
みなさんは,文学的な文章を指導するときに,どのようなことを大切にされていますか?
きちんと学習用語を身に付けさせて系統的に指導すること,一人一人が解釈をもてるように指導すること,日常の読書につながるように指導すること,など様々だと思います。
私は次のように考えています。
このことは,文学的な文章に元々そなわった「教材の力」であり,読書の楽しみ方の1つとも言えるのではないでしょうか。
物語世界の登場人物は,時として私たちがびっくりするような行動をします。
例えば次のような行動です。
子どもたちが生活経験の中で育んだ考え方やものの見方では,考えられない行動と言えます。
このような登場人物の行動を理解するためには,考え方やものの見方の更新が必要です。
そのために必要な資質・能力が,想像力であると考えています。
ここで言う「想像力」とは,未知の事柄を思い描いたり推し量ったりする力を指します。
来年度から全面実施される学習指導要領にも,文学的な文章の指導事項として系統的に示されています。
これらは,説明的な文章との大きな差異であり,「想像力」は文学的な文章でこそ育成すべき資質・能力であると言えます。
したがって,私は,以下のように考えて文学的な文章の指導を構想しています。
登場人物の行動の理由について,言葉を基に想像する力の発揮を促します。
そうすることで,子どもは,生活経験の中で育んだ考え方やものの見方を更新し,物語世界を理解することができるのです。
これまでの文学的な文章を教材とした授業における子どもの姿を紹介します。
2月6日(木)7日(金)の初等教育研究会では,
〇 特定の場面を越えて,文章全体の言葉に着目する
〇 自らの言葉で行動の理由を語る
このようにして豊かに想像する子どもの姿をご覧いただきたいと思います。
読むこと大好きな二年生の子どもたちと,参会者の皆様をお待ちしています!
語り合おう,物語の世界 -「ニャーゴ」(東京書籍2年下)-
2019.10.20今年度,国語科「読むこと」の文学的な文章教材を研究領域として,実践研究に取り組みます。
私が文学的な文章教材で育成を目指す資質・能力は,
想像力
です。
今回は,「ニャーゴ」(東京書籍2年下)を教材として,研究授業を行いました。
以下のように,大きく三つの段階で単元を構想しました。
① 物語世界の概要を捉える。
各場面の内容,登場人物の行動,登場人物の人柄を検討し,内容を大まかに把握します。
② 物語世界について語り合う
物語世界の特徴を見いだし,その特徴を生んでいる登場人物の行動の理由について,考え語り合います。
「ニャーゴ」の物語世界の特徴は,猫がねずみを捕食することなく結末を迎えるという内容です。
子どもは,場面の様子に着目して
登場人物の行動の理由を想像する力を発揮して,
猫の行動の理由を考えます。そして,自分が理解したことの共有を図るために,思いや考えを伝え合おうとする態度を発揮して語り合います。
③ 読書を広げる
教科書教材の内容と,特徴が類似した文学作品を読み広げます。
このような三段階で単元を構成することによって,読書に関する知識・技能を育成することができると考えています。具体的には,教材文「ニャーゴ」のおもしろさを十分に味わうことによって,それを起点として読書に親しみ,いろいろな本があることを知ることができるのです。
それでは,研究の中核となる 「②物語世界について語り合う」 学習の様子をご紹介します。
子どもは,前時までに,物語世界の特徴として
「猫が子ねずみたちを食べなかったこと」
を見いだし,語り合う内容として設定しています。本時では,ねずみを食べなかった猫の考え方を想像し,語り合います。
語り合う内容を確認した後,次のように問いました。
この発問によって,子どもは,現実世界に生きる自分の考え方と捉えている場面の様子とを表出します。
黄色で示した発言には,現実世界に生きる子どもの考え方が,緑色で示した発言には,捉えている場面の様子が表れています。
さらに,互いの考えを交流することで,現実世界の考え方と場面の様子とを把握することを促します。
このように,子どもの発言を板書にまとめていきました。
そして,実際の登場人物である猫の言動を確認しました。
子どもは,同じ場面にも関わらず,自分たちと異なる言動をしている猫の考え方について,課題意識を高めます。このような子どもたちに,次のように問いました。
この発問によって,子どもたちは
現実世界の自分たちと異なる,物語世界の猫の考え方について,想像します。
場面の様子や自分たちとは異なる猫の人柄を基に,様々に想像する子どもたちの姿がありました。
このような子どもたちに,発揮した想像力の自覚を促すために,次のように問いました。
ここでは,アイパッドを用いて,ロイロノートアプリの思考ツール「クラゲチャート」を活用させました。想像した事柄(頭部分)と手掛かりとした言葉(足部分)の関係を視覚化することによって,関係付ける思考を促すことができます。
このように,「言葉を基に想像する」ということを自覚化することが,想像力の育成につながります。子どもは,今後の学習においても,手掛かりを大切にして想像するようになるのです。国語科においては,その手掛かりが言葉であるということになります。
何も手掛かりにせず自分の経験のみで行われる想像は,「空想」に過ぎません。事実を基に想像する力こそが「想像力」なのです。
今後,二月の初等教育研究会に向けて,さらに研究を進めていきます。
↓ご意見,ご感想をお待ちしております↓
(nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp)
文学的な文章でこそ育成すべき資質・能力とは・・・研究授業「お手紙」
2019.08.03今年度,国語科「読むこと」領域の文学的な文章教材を研究領域として,実践に取り組みます。
「読むこと」領域には,文学的な文章と説明的な文章という,大きく分けて2種類の教材があり,学習指導要領でも項目を区別して指導事項が示されています。
では,文学的な文章でこそ育成すべき資質・能力とは,どのようなものでしょうか。
それは,
「想像力」
であると考えます。
「想像力」とは,未経験の事柄を思い描いたり,推し量ったり,予測したりする力です。文学的な文章の学習において,登場人物の行動の理由など,直接的には描かれていない事柄を読み取ろうとする過程で,「想像力」が育成されるのです。
今回の研究授業では,「お手紙」(東京書籍2年上)を教材として,「かえるくんが,がまくんに,お手紙を書いたこととその内容を打ち明けた場面」を中心に,かえるくんの行動の理由を想像する学習を行いました。
直接的に「かえるくんは,どうしてがまくんにお手紙のことを言ったのかな」と発問しても,子どもたちの想像は,「がまくんが,悲しそうだったから」,「がまくんに,何て書いたのか聞かれたから」などと,その場面の叙述に縛られた,短絡的かつ固定的なものになってしまいます。そこで,次のような2つの発問に改善して,進めました。
もしも,あなたがお話の中のかえるくんだったら,このときどのように行動しますか。
この発問によって,子どもたちは,この場面に至るまでの場面の様子や自分の既有知識・既有経験を手掛かりとしながら,あり得る行動を想像します。
「私だったら,お手紙を出したことを言いません。がまくんは,お手紙を一度ももらったことがないから,言ってしまうとお楽しみの気持ちが減ってしまうと思います」
「ぼくも,言いません。ずっと励ましていたのに,ここで言ってしまったら意味がなくなるからです」
かえるくんが,みんなが想像した行動をしなかった(お手紙のことを言った)のは,どうしてですか。
このように問うことで,子どもは,前の発問で手掛かりとした場面の様子や既有知識・既有経験を生かしながら,かえるくんの行動の理由を想像します。
「かえるくんがなぜしなかったかというと,今日待っていても来ていなかったのに,今日絶対に来るよって言ったってどうせ来ないからと思われるからです。かえるくんはずっとがまくんを励ましてあげていたけど無理で,書いたことを言わないと聞いてくれないと思ったんだと思います」
「多分かえるくんはがまくんはあきらめかけていて,もう何を言っても無駄になると思ったから,お手紙を出したことと内容を言ったと思います。ずっと励ましの言葉を言っていても多分玄関の前には行ってもらえないからだと思います」
このように,複数の場面の様子や既有知識・既有経験を手掛かりとして,かえるくんの行動を豊かに想像する姿が見られました。
今後も,様々な文学的な文章教材を用いて,子どもの想像力を育成するための働き掛けの在り方を研究していきます。
ご意見,ご感想をお待ちしております。(nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp)