個人研究
社会科:
小黒 健太
附属新潟小学校5年目。小黒健太(おぐろけんた)と申します。
研究教科は社会科です。令和6年度は高学年社会科を担当し、初等教育研究会では、6学年の社会科授業を提案します。
社会科は、子供が「当たり前であることのありがたみ」に気付いていく教科です。例えば、「警察署は,消防署と協力してして事故が起こったときに仕事をしたり、地域の人と協力して事故を防いだりしているんだ。警察の人や地域の人があんなに頑張っているから、僕たちのまちは安全だし、みんなは安心して暮らすことができるんだね」という理解です。その気付きこそ、子供たちをよりよい社会の創り手に育てることにつながると考えます。
また、子供が社会科を通して学んだことを生活に生かす姿を大切にしていきます。今までの社会科授業で難しかったことを一人一台端末で実現できるようにしていきます。
もちろん、①「あれ?」という不思議、「それでいいの?」という疑問、「う~ん,どうしよう。」という悩み、「えっ?」という驚き、「おー、すごい!」という感動を子供たちから引き出し、問題意識を高める授業、②対話を通して子供たちが納得解・最適解を見いだす授業もこれまで同様に大切にしていきます。
多くの皆様から御批正をいただければ幸いです。
<書籍>
共著:STEP UP 全学年対応社会科授業アイデア
<今年度の研究キーワード>
「社会科×個別最適な学び」「社会科×学びを生活に生かす」「社会科×ICT」
子供も大人も楽しい社会科を一緒につくっていきましょう。各種ご依頼大歓迎です。ご連絡をお待ちしております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
~ごみとみんなのストーリー~これまでのストーリー①
2021.10.23単元の導入は,子供にとって身近な実物である「教室のごみ箱」を提示しました。
私:これって,何ごみが入っているの?
子:何ごみだろう?燃えるごみ?燃やすごみ?
自分が捨てているにも関わらず,子供はごみに対して無関心でした。
そこで,もう少しごみへの意識を高めてほしいと思い,家のごみ調べを行わせました。
数日後,それぞれの家庭で調べた結果を共有させました。
このあと,ごみがこのあとどうなるのか気になったという子供たち。さて,ごみは家からどこへ行くのかな?
to be continued…
社会科で理解の質を変える
2021.09.07社会科で扱う事象は,大人の世界の物,事,人です。ですから,子供の世界から遠いことが多く,子供はどうしても他人事として事象を捉えてしまいます。しかも,子供にとっては,生まれる前から「事象がある」という状態が続いていて,その状態であることが当たり前であるため,事象の「ありがたみ」に気付かないことが多いのです。しかし,
「当たり前のありがたみ」に気付かせること
こそ,社会科の使命だと考えます。それが事象の意味を理解することに繋がり,自分事として事象を捉えることになるのです。
「事象を対象化して客観的に認識する理解」から「事象と人々の生活との関連を踏まえた理解」へ。
では,どうすれば,社会科で理解の質が変わるのでしょうか?
上記のように考えた結果,私は次のように改善点を講じ,実践を行いました。
①仮定の状況を提示し,どんな影響が起こりそうかを問う。
②仮定の状況で起こり得る影響を共有する場を設定し,誰にとってどんなことがありそうかを問う。
このようにして,仮定の出来事から起こり得る影響を推測したり繋げたりして,事象の意味を理解する子供を目指しました。
見えてきた課題
子供は仮定の状況を提示することで,「どんなことが起こるのだろうか」と疑問をもち,起こり得る影響を推測したり,繋げたりして思考ツール上で共有していきました。
しかし,以下の課題が見えてきました。
①推測という活動を続けた結果,子供は4年生の学習フィールドである地域社会を超えた県外の人,国や政府という立場に立って考え出すようになった。
②思考ツールに書き込み始めた頃は事実を基に推測していたものの,次第に事実には基づかない推測にどんどん拡散し,大きく膨らんでいった。
③思考ツール上で因果関係で影響同士を繋ぐ姿を想定していたが,似ているなどの類似の思考で影響同士を繋ぐ姿が現れた。
これらの課題を受けて新たな改善点を講じ,秋の研究授業に臨みたいと思います。
最後までご覧いただき,ありがとうございました。 下記メールアドレスまで ,忌憚のないご質問,ご批正をいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
oguro@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
それいけ!スーパー調査隊
2020.12.043年生「物を売る人と仕事」の実践を行いました。
子供たちにとってスーパーマーケットはとても身近な存在です。しかし,身近なのに知っているようで知らないことがたくさんある魅力的な単元です。学習を通して,新たに抱いた疑問について,休日の買い物の際に店員さんにインタビューして解決する子供もいました。このように,自力で調べたり,調査したりできることも本単元の魅力の一つです。
社会科は,一つの事例を通して学ぶ教科です。しかし,
「子供たちは,一つの事例から販売という概念を獲得することができているのだろうか」
と感じていました。上記の思いから,本実践を構想しました。
研究計画と指導案は以下からダウンロード可能です。
複数の事例をあつかうことで,一つ一つのスーパーが行っている工夫の目的を捉えることができました。そして,自他が調べたスーパーの工夫の目的の共通点を見いだすことで,どのスーパーにも当てはまる概念を獲得することができました。
本実践へのご意見,ご感想,ご批正をいただけると幸いです。宜しくお願い致します。
Mail:oguro@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp
初等教育研究会(1月30日~2月6日)では,地域の安全を守る仕事の謎に子供たちが挑戦します。自分たちの住んでいる地域の安全は,誰がどうやって守っているのか。子供たちはどうやって問題解決をしていくのか。私も子供たちと一緒にワクワクしながら追究していきたいです。
3年生 まちの様子
2020.06.01コロナ禍により限られた授業時数と環境下で,社会科は何を身に付けさせるべきなのか
教科の本質が問われています。
社会科は,一言で言えば「見えないもの」を見えるようにする教科であり,
「見える事実」をもとに「見えない社会科的事象の意味や特色」を見いだすこと
が社会科の本質だと考えます。
感染拡大を防ぐために色々な制約がある中で,「見える事実」と「見えない社会的事象の意味や特色」を獲得させるための方策を3年生の社会科で提案します。その鍵は・・・
「バーチャル町探検」と「学びの役割分担」です。
社会科トーク~臨時休業中の学習支援~
2020.05.08臨時休校中も子どもたちの社会科の学習を保障したいと考え,学習支援を行いました。ここでは,取組の一つをご紹介します。
臨時休校前に子どもたちは以下の学習を行いました。
①社会科の教科書のまちの様子を観察して,どんな建物があるか,どんな場所があるかについて,気付いたことを発表した。
②東西南北のそれぞれの方位からどんな景色が広がっているかについて,学校の屋上から観察した。
この取組は,②の屋上での学習を生かした学習支援です。
教師は,子どもの記述を基にして,「まちたんけんでは,この認識に付加するような事実に出合わせよう。」と,授業を構想することができます。また,子どもは,まちたんけんに行きたい場所を記述することで,「屋上での観察ではよく分からない,もっと近くに行って確かめたい。」と意欲を高めます。
また,臨時休校中に自分が住んでいる区について調べさせておくと,授業が再開したときに,いろいろな区の情報が集まります。公立の学校では,自分の家と親戚の家の周りの様子を比較することができます 。
臨時休校中だからこそできる取組,授業再開後につながる取組をみなさんで探してみませんか。