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2022.08.09
教科書教材文「一つの花」の読解を終えた後に,「一つの花」と同じ作者である今西祐行さんの「すみれ島」を読み聞かせ,比べ読みをする実践を行いました。
「一つの花」は,一輪のコスモスの花が登場人物の思いや願いを象徴している作品となっています。「すみれ島」も,物語に出てくる「すみれの花」が重要なアイテムとなっています。また,二つの作品とも戦争中の話ということで,設定も似ています。これらの点から,「キーアイテムが象徴するもの」を読みの観点としながら,比べ読みをすることで作者の今西さんの思いにより深く迫ることができると考えました。
子供たちは、前時までに「一つの花」で「一輪のコスモスの花」がキーアイテムであると感じ取り,その花に込められた意味を考えました。すると,「幸せや喜びを願う父親の愛情」「将来を心配しつつも,幸せを願う父親の願い」「命を大切にしてねという願い」など,父親が娘を思う気持ちや願いが象徴されていることに気付きました。また,一輪だけだったコスモスの花が,最後の場面ではトンネルのようにたくさん咲いていたことから,「コスモスは幸せを象徴している」というようにも考えました。
本時の板書です。子供たちは,「すみれ島」の読み聞かせを聞いた後に,まず「一つの花」との共通点と相違点を探しました。そして,「どちらの作品も花に気持ちを込めている」という共通点と,「花に込められた思いが違う」という相違点に気付きました。これらの子供たちの考えを基に「すみれの花が象徴しているのは,どんな気持ちなのか?」という焦点化した課題を設定し,話合いました。子供たちは,叙述を基にしながら,様々な解釈を考えていました。
ある子の発言です。この子は,花を渡す側の人物の気持ちと,花を渡される側の人物の気持ちを両方想像していました。素晴らしい姿です。しかし,全体ではどの立場の人物の気持ちを考えるのかが明確になっていなかったために,子供たちが考えにくい課題になっていたことが反省点です。また,「象徴」と問われた時に,子供たちは少し戸惑っている様子が見られました。登場人物の気持ちを考えた最後に,花がその気持ちを象徴していたと気付くのが子供の思考の流れに合っていたのではないかと思いました。これも反省点です。
子供の書いた本時の振り返りです。今回は,1時間の授業の中で,初めて読んだ物語をどの程度読み深めることができるのかに挑戦しました。まだまだ押さえどころが甘く,改善点はたくさんありますが,一生懸命に既習を生かしながら読もうとする子供たちの姿に「象徴するもの」を読みの観点にして比べ読みをすることの可能性も感じました。
授業終わりに,ある子が「先生,今日の国語の授業楽しかったです。また,こんな授業やってください!」と言ってくれたことがとてもうれしかったです。これからも,子供の意欲を高める国語授業をつくり上げていきたいと強く感じました。