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2019.11.09
「A 主として自分自身に関すること」の内容項目では,「ゲームをしすぎるのはよくない」「わがままをするのはよくない」などと,子どもたちがこれまでに分かっていることを話すだけで終わってしまう授業をしてしまったことがあります。
そこで,今回は子どもたちが自分ごととして考え,授業の中で「自分の考えが変わった」と感じられるような授業を行おうと考えました。
今回は,「黄金の魚」を教材として授業を行いました。
何でも願いを叶えるという黄金の魚に対し,要求がエスカレートするおばあさん。
最後には「海の女王になりたい」と言い,もとの姿に戻ってしまった場面で「そんなによくばらなければよかったのに」「やめておけばよかったのに」と話す子どもたち。そこで,
よくばってしまうおばあさんの気持ちの気持ちに共感できるかを問う
「おばあさんのよくばっちゃう気持ち,分かりますか」と問うと子どもは,
「分かります。前に僕が「このお菓子買って」と言ったら,「いいよ」って言ってもらって,調子に乗って「これも,これも…」って言ったら「ダメ」って言われて,何にも買ってもらえなかった」と,これまでの経験とつなげて話しました。それを聞いた子どもたちは,「あぁ,そういうことある」と自分の経験を想起し,よくばってしまう気持ちが自分にもあることに気付きました。
自分であればどの段階で願い事をやめるか立場と理由とを問う
そこで「もし,自分がおばあさんの立場だったら,どこでやめておきますか」と問うて,立場を決めさせました。
約半数の子どもたちが「お金持ちにしてもらうまでにする」と考え,理由を話しました。
次に「おけだけをお願いする」と考えた子どもに理由を聞きました。
最後に「お願いをしない」と考えた子どもに理由を聞くと
すると,「先生,(立場を)変えてもいいですか」という子どもの声が。理由を聞くと「みんなの話を聞いたら,考えが変わった」と話しました。
そこで,再度立場を問いました。多くの子どもの考えが変わり,①②の立場になりました。
よくばりすぎないことのよさは何かを問う
「せっかく願いを叶えてくれるのに,お願いをしないのですか」と問うと,うなずく子どもたち。「よくばりすぎないことのよさ」を学習課題に設定し考えました。
まず,個人で考え,その後ペアでできるだけたくさん考えを出すように指示しました。
子どもたちからは
・自分がわがままな性格にならなくなる
・人に迷惑をかけない
・自分のことがしっかりできる人になる
などの考えが出てきて,その理由に「あぁ~」「たしかに」など共感していました。
学習後,次のように子どもは振り返りを書いていました
よくばってわがままを言わないで,ふだんの生活を続けるよさを知りました。よくばるといいことが起こるかもしれないけど,悪いことも起こる。よくばらないといつか永遠の幸せにたどりつける。私はそのように感じました。
よくばりすぎないことのよさを自分ごととして捉え,これからの生活に生かそうとしていました。
参考文献:教科書教材でつくる 道徳科授業のユニバーサルデザイン(東洋館出版社)