和菓子の今昔物語 町の変化から見る和菓子の魅力(小単元Ⅱ)

2024.10.24

前回に引き続き、今年度の総合の実践をご紹介します。

  小単元Ⅰで設定された課題に対し、子供は和菓子に「特別感」を感じる理由として、金巻屋が作る和菓子に何かよさがあるからではないかと予想しまた。そこから、一度「特別感」を「魅力」という言葉に置き換え、金巻屋の和菓子の魅力を追究し始めました。まず和菓子の作り手と交流して必要な情報を収集しました。収集した情報には、自分達が感じている和菓子の「?」の解決につながる情報も含まれています。その後、収集した情報の整理・分析を通して和菓子作りに対する作り手のこだわりに気付くことができました。具体的に、作り手は「和菓子の作り方」、「和菓子に使うあんこ」、「和菓子で季節感を表現すること」を大切にしているということです。

  子供は対象に出合い、対象に関わる人と交流して得た情報を蓄積していきます。しかし、情報を蓄積するだけでは対象の新たな価値は見いだせません。そこで、収集した情報を自分が見やすいようにまとめたり、情報同士の関係性を考える時間を作りました。そうすることで、子供は、作り手にインタビューした当初はバラバラだった情報間につながりを見いだし、情報同士がつながることでどのような意味が生まれるのかを考えていきました。

  和菓子の作り手が大切にしている思いを知っていくと、子供の中で和菓子に込められている作り手の思いは、ちゃんとお客さんに伝わっているのかという疑問が生まれました。そこで、金巻屋を利用しているお客さんにアンケートを取り、お客さんが感じている和菓子の魅力を調べ、作り手が感じている魅力と比較することで和菓子のよさをさらに追究していきました。

  子供は作り手の思いと買い手の思いとを比較し、「和菓子をおいしく食べてほしい!」という気持ちは買い手にもしっかり伝わっていることに気付き、両者の思いはつながっていることを理解しました。そして、和菓子を介して作り手と買い手の気持ちがつながっていることこそ、和菓子の魅力であり、自分たちが感じている特別感でもあるとまとめることができました。本小単元の中で、ある子供は和菓子の追究をし始めている段階では、和菓子の作り手のみに意識が向いていましたが、買い手にも目を向けたことで、作り手の思いが買い手とどのようにつながっているのかを捉え始めていきました。これは対象である和菓子を様々な面から見ることで、新たな気付きを得ることができた姿です。

  作り手や買い手との交流を経て、金巻屋が作る和菓子の新たな魅力を見いだしている子供に、改めて「あなたの和菓子に感じている特別感は何か」と問いました。単元当初、和菓子を食べて特別感を感じていましたが、特別感の具体的なものまでは見いだせていませんでした。しかし単元末では、作り手は和菓子のことが好きであり、お客さんにおいしく食べてほしいという気持ちで作っていることを理解し、その作り手の気持ちは買い手にも伝わり、買い手も和菓子のことが好きであることが和菓子の特別感になると考えました。本小単元で、金巻屋が作る和菓子の魅力を追究していくことで、和菓子に対する新たな見方や考え方が加わり、対象の価値を更新されていく姿がありました。しかし、子供は和菓子について、もっと探究してことがあることが共有され、小単元Ⅲへ進んでいきました。

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