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2019.08.03
今年度,国語科「読むこと」領域の文学的な文章教材を研究領域として,実践に取り組みます。
「読むこと」領域には,文学的な文章と説明的な文章という,大きく分けて2種類の教材があり,学習指導要領でも項目を区別して指導事項が示されています。
では,文学的な文章でこそ育成すべき資質・能力とは,どのようなものでしょうか。
それは,
「想像力」
であると考えます。
「想像力」とは,未経験の事柄を思い描いたり,推し量ったり,予測したりする力です。文学的な文章の学習において,登場人物の行動の理由など,直接的には描かれていない事柄を読み取ろうとする過程で,「想像力」が育成されるのです。
今回の研究授業では,「お手紙」(東京書籍2年上)を教材として,「かえるくんが,がまくんに,お手紙を書いたこととその内容を打ち明けた場面」を中心に,かえるくんの行動の理由を想像する学習を行いました。
直接的に「かえるくんは,どうしてがまくんにお手紙のことを言ったのかな」と発問しても,子どもたちの想像は,「がまくんが,悲しそうだったから」,「がまくんに,何て書いたのか聞かれたから」などと,その場面の叙述に縛られた,短絡的かつ固定的なものになってしまいます。そこで,次のような2つの発問に改善して,進めました。
もしも,あなたがお話の中のかえるくんだったら,このときどのように行動しますか。
この発問によって,子どもたちは,この場面に至るまでの場面の様子や自分の既有知識・既有経験を手掛かりとしながら,あり得る行動を想像します。
「私だったら,お手紙を出したことを言いません。がまくんは,お手紙を一度ももらったことがないから,言ってしまうとお楽しみの気持ちが減ってしまうと思います」
「ぼくも,言いません。ずっと励ましていたのに,ここで言ってしまったら意味がなくなるからです」
かえるくんが,みんなが想像した行動をしなかった(お手紙のことを言った)のは,どうしてですか。
このように問うことで,子どもは,前の発問で手掛かりとした場面の様子や既有知識・既有経験を生かしながら,かえるくんの行動の理由を想像します。
「かえるくんがなぜしなかったかというと,今日待っていても来ていなかったのに,今日絶対に来るよって言ったってどうせ来ないからと思われるからです。かえるくんはずっとがまくんを励ましてあげていたけど無理で,書いたことを言わないと聞いてくれないと思ったんだと思います」
「多分かえるくんはがまくんはあきらめかけていて,もう何を言っても無駄になると思ったから,お手紙を出したことと内容を言ったと思います。ずっと励ましの言葉を言っていても多分玄関の前には行ってもらえないからだと思います」
このように,複数の場面の様子や既有知識・既有経験を手掛かりとして,かえるくんの行動を豊かに想像する姿が見られました。
今後も,様々な文学的な文章教材を用いて,子どもの想像力を育成するための働き掛けの在り方を研究していきます。
ご意見,ご感想をお待ちしております。(nakano@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp)