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2021.09.07
社会科で扱う事象は,大人の世界の物,事,人です。ですから,子供の世界から遠いことが多く,子供はどうしても他人事として事象を捉えてしまいます。しかも,子供にとっては,生まれる前から「事象がある」という状態が続いていて,その状態であることが当たり前であるため,事象の「ありがたみ」に気付かないことが多いのです。しかし,
「当たり前のありがたみ」に気付かせること
こそ,社会科の使命だと考えます。それが事象の意味を理解することに繋がり,自分事として事象を捉えることになるのです。
「事象を対象化して客観的に認識する理解」から「事象と人々の生活との関連を踏まえた理解」へ。
では,どうすれば,社会科で理解の質が変わるのでしょうか?
上記のように考えた結果,私は次のように改善点を講じ,実践を行いました。
①仮定の状況を提示し,どんな影響が起こりそうかを問う。
②仮定の状況で起こり得る影響を共有する場を設定し,誰にとってどんなことがありそうかを問う。
このようにして,仮定の出来事から起こり得る影響を推測したり繋げたりして,事象の意味を理解する子供を目指しました。
見えてきた課題
子供は仮定の状況を提示することで,「どんなことが起こるのだろうか」と疑問をもち,起こり得る影響を推測したり,繋げたりして思考ツール上で共有していきました。
しかし,以下の課題が見えてきました。
①推測という活動を続けた結果,子供は4年生の学習フィールドである地域社会を超えた県外の人,国や政府という立場に立って考え出すようになった。
②思考ツールに書き込み始めた頃は事実を基に推測していたものの,次第に事実には基づかない推測にどんどん拡散し,大きく膨らんでいった。
③思考ツール上で因果関係で影響同士を繋ぐ姿を想定していたが,似ているなどの類似の思考で影響同士を繋ぐ姿が現れた。
これらの課題を受けて新たな改善点を講じ,秋の研究授業に臨みたいと思います。
最後までご覧いただき,ありがとうございました。 下記メールアドレスまで ,忌憚のないご質問,ご批正をいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
oguro@fusho.ngt.niigata-u.ac.jp